厚生労働省は5月28日、医療保険の審査支払業務の効率化や質の向上を検討する「審査支払機関の在り方に関する検討会」(座長=森田朗・東大大学院法学政治学研究科教授)の第3回会合を開き、審査の実施体制について議論した。会合では、審査機関において、保険者推薦など三者で構成される審査委員会がどのように機能しているかなどについて、意見が交わされた。
現行制度で位置付けられる審査機関は、「社会保険診療報酬支払基金」(支払基金)と「国民健康保険団体連合会」(国保連)の2つで、保険者はいずれにも審査を委託できる。審査機関は保険者推薦、診療担当者推薦、学識経験者の三者から成る審査委員会において、全レセプトを合議により審査することになっている。
議論に先立ち、支払基金と国保連の審査業務の現状が報告された。この中で、国保連のレセプト取扱件数が、2008年度に始まった後期高齢者医療制度をきっかけに急増していることが明らかになった。これを受け、委員から「審査を合議でしているというのは誤解を生むのではないか」との問題提起があり、合議を前提としている現行制度が機能しているかどうかを議論した。全国健康保険協会理事の高橋直人委員は、「合議審査は建前で、新しいものをつくるなら、外からチェックが掛かるなどの仕組みにすべきだ」と提案した。
この日の会合では、レセプトを審査する「三者」の構成にも議論が及んだ。日本薬剤師会副会長の山本信夫委員が、「合議に薬剤師がいないというのは、専門家がいない中で決めているのではないか」と指摘。これに対し支払基金専務理事の足利聖治委員は、「非常勤で薬剤師を全支部に配置している」と答えた。
同検討会は次回会合を6月25日に開催し、これまで積み残したテーマと、審査の質の向上や査定率の差異などについて議論する予定だ。
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